推しの子~転生して芸能人になったけど頭の中は復讐のことばかり~


○推しの子 

1前説 

 推しの子は、あの「かぐや様は告らせたい」の赤坂アカ先生による作品で、週刊ヤングジャンプで2020年から連載中の作品で、2022年6月現在コミックスは8巻刊行されています。 

 1週遅れでウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』(集英社)でも毎週木曜更新で連載されており、そちらでも楽しむことができます。 

 先日、アニメ化が発表されたところであり、次にくるマンガ大賞2021でも大賞に選ばれていました。 

 原作担当の赤坂アカ先生もヒットメーカーですが、作画担当の横槍メンゴ先生も「君は僕の淫らな女王」や「クズの本懐」など複数のヒット作品を連載した売れっ子作家です。 

 二人のヒット作家がタッグを組んだ本作は期待通りのヒット作となり、アニメ化も果たしまし、更に勢いに乗ると思われます。  

 これから読者も増えますし、皆様もせっかくなので読んでみてはいかがでしょうか。多分、損はしないはずです。

2あらすじ 

 まず、あらすじから説明しましょう。 

 まとめちゃうと、大体こんな感じです。 

○産婦人科医・ゴローの元に、双子を妊娠した彼の推しアイドル星野アイが担当患者として現れるが、出産直前にアイのストーカーにより、命を落としてしまう。そして再び目が覚めた時、そのアイの子、アクアとして生まれ変わる。 

○星野アイは出産後、アクアと双子の妹ルビーを育てるが、何者かに刺されて命を失う。アクアは犯人に復讐を誓う。 

○アクアの双子の妹、ルビーも転生者であり、前世では星野アイの熱烈なファンであり、ゴローの研修医時代の患者でもある。母のようなアイドルになること、ゴローに出会うことを目指し、芸能活動を始める。 

 人命が割と容易く失われるマンガではあります。星野アイとゴローは誰のせいで命を失ったのか。そして、ゴロー(アクア)の復讐の行方はどうなるのか。この2点を軸にストーリーは展開していきます。 

3作品の特徴 

  1. 対比、共通点がわかりやすく、想像が捗る。 

 推しの子はミステリー要素の強い作品であり、作品に秘められた謎を考察、予想するのが楽しむポイントの一つです。 

 作品の作りとしても、考察を楽しみやすいように作られています。 

 登場人物の対比、共通点は割と見えやすく、登場人物の役割や未来を想像することができます。 

 アクアとルビーは双子の兄弟というだけでなく、復讐鬼と化したアクアと純粋に母の後を追ってアイドルをはじめるルビーという目的の違いにおいても、対になっています。 

 また、アクアのヒロインである有馬かなと黒川あかねも 

有馬かな →本音で話せる、アクアの内心に無頓着。 

黒川あかね→利用できる仕事仲間、アクアの目的を鋭く察知 

という点で対になっています。 

 ただ、最初に提示された関係性や思考が永続するわけでなくて、話の展開と共に変化していくのが面白いポイントです。 

 ビジネスから始まった関係性だから、ずっと本音で話せないわけじゃないし、ルビーもいつまでも純粋ではいられない。 

 わかりやすく提示された対比関係等が変化していくことで、ストーリー上どんな変化があるか、つい考えたくなります。 

 普段、考察しながら漫画を読まない方も違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。 

  1. 描写が生々しい 

 母の死からストーリーが始まっているからなのか、推しの子は取り上げるエピソードが重たいですね。 

 推しの子の恋愛リアリティショー編では演者の自殺問題を取り上げています。 

 恋愛リアリティショーといえば、現実でも痛ましい事件がありました。番組の内容を本気に捉えすぎて、演者を攻撃しちゃう人がいるんですよね。あれだけの事件が起きたにも関わらず、何かあればSNSで人を袋叩きにするという風潮は消えることがありません。 

 醜いし、肯定すべきではないんですけど、これは一つの現実なんですよね。 

 推しの子は華やかな芸能界の乾いた現実を描写しています。恋愛リアリティショー編以外でも、地下アイドルや年齢を重ねた子役の現実などがエピソードとして取り上げられています。 

 描写が生々しいってのは特徴の一つかなと思います。 

 この点は赤坂アカ先生の特徴な気がします。「かぐや様は告らせたい」で取り上げるのは「同じグループの中で会話をしない人」で、「推しの子」では「恋愛リアリティショー」という方向性が違うだけで、生々しいという点では共通しています。 

 あまり生々しい話が好きじゃない人には向いてないのかもしれません。ただ、暗い一辺倒じゃなくて、コメディシーンやサクセスストーリーも挟まれているので、読みにくいとまではいかないと思います。 

  1. 不穏な三角関係 

 芸能界の描写は生々しく重たいものも多いのですが、ラブコメ要素も多少はあります。 

 アクアと有馬かな、黒川あかねのダブルヒロインはそれぞれ甘いシーンが描写されていて、どちらもヒロインとして魅力的に描写されています。 

 いわゆる三角関係なんですけど、どちらとくっつくか最後まで分かんないし、王道ラブコメとしても楽しめると思います。 

 こうした要素が清涼剤となっているので、本筋の重たさが緩和され、読みやすい作品になっています。 

 ただ、推しの子という作品の特性上不穏な感じはするんですよね。黒川あかねは天才的プロファイル力を持っているのですが、事件の真相にアクアより近づいている節があり、ミステリーもので途中退場する登場人物に見えちゃうんですよ。 

 とりあえず、8巻時点ではまだ一応平和なんで、ラブコメになっているかなと思います。 

4最後に 

 今ノリノリの推しの子について、少しだけ語らせていただいたわけですが、読んだ方がいいです。読んだ方が色々伝わると思います。シンプルに面白いんで。シリアスあり、コメディ、ラブありなんで楽しめる要素は多いです。 

 幸いなことにも、2022年6月30日までアニメ化記念で3巻分まで無料で読めます。とりあえず読んでみましょう。 


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